大谷翔平を“晴顔人生”に導いた「72のステップイメージ」!【元NHKアナ・中村克洋「人生を動かす“顔”パワー」講座/顔と夢実現③】
ドジャース・大谷翔平選手の大きな魅力は何といっても、あの笑顔ですね。笑顔以外にも大谷選手の“晴顔”は、とても魅力的です。「“晴顔”がすばらしい人生を作る」という事実の典型のような人です。
■“夢”をステップイメージが取り囲む
大谷翔平選手の“夢実現”の方法を具体的に見ていきましょう。野球選手への夢を叶えたのは、花巻東高校の1年生の時に当時の最大の“夢”を実現するために立てた個々の目標を図表化した「目標達成表」です。その仕組みを説明していきましょう。
まず、大きな四角形の全体を「縦×横」9コマずつで81コマに区切ります。そして当時の最大の“夢”だった【8球団・ドラフト1位指名】をその中心に置きます。その周りを8項目のステップイメージで固めます。具体的には、「体づくり」「コントロール」「キレ」「メンタル」「スピード160㎞/h」「人間性」「運」「変化球」の8項目で“夢”を取り囲んだのです。さらに、8項目それぞれの周囲に、もう8つのステップイメージを加えます。たとえば、「コントロール」の周りには「インステップ改善」「体幹強化」「軸をぶらさない」「リリースポイントの安定」「不安をなくす」「下肢の強化」「体を開かない」「メンタルコントロールをする」というステップイメージを配置。「人間性」の周りには「感性」「愛される人間」「計画性」「思いやり」「感謝」「礼儀」「信頼される人間」「継続力」という具合です。
特に注目すべきは「メンタル」を囲む8項目。そこには大谷選手の“今の姿”が見えます。それは、「はっきりとした目標、目的をもつ」「一喜一憂しない」「頭は冷静に、心は熱く」「ピンチに強い」「雰囲気に流されない」「波を作らない」「勝利への執念」「仲間を思いやる心」。まさに、今の大谷選手そのものです。
■ミラーニューロン“マネッシーくん”が「それをマネして実現」
大谷選手は、この合計72(8+8×8)のステップイメージを私が“マネッシーくん”と呼んでいる神経細胞“ミラーニューロン”でマネして、一つ一つ実現していきました。その結果、「目標達成表」の中心、【8球団・ドラフト1位指名】という“夢”を実現させたのです。
大リーグ入りしてからも、「野球の神様」と呼ばれたベーブ・ルースを超えた「二刀流」だと評価され、「デビューして2週間で、大リーグを完全に変えてしまった」と、最大級の評価を勝ち得た大谷選手。その大谷選手の心と体には、今も、あの“72のステップイメージ”が染みついていると思います。それが今、また新たな大記録を作っているのだと思います。今の大谷選手を作ったのは、高校1年生の時に作った「目標達成表」、つまるところ“72のステップイメージ”だったのです。
■大谷選手は、つらくなかったのか?
「夢を実現するためには、“楽しいこと”ばかりじゃなくて“つらいこと”もいっぱいあるんじゃないの?」という声が聞こえてきそうです。そうですね。大谷選手も人一倍“努力”し、“頑張った”のだと思います。でも、「それをつらいとは思っていなかった」と私は思います。むしろ「楽しかった」のではないでしょうか。ステップイメージをクリアしていく過程のつらさは、「チャレンジという“快楽”」に変えることができます。これは、バイアス・マジックとして紹介ずみです。“晴顔”でチャレンジすることで、努力や頑張りも、結構楽しくできるのではないでしょうか。
大谷選手の“夢実現のプロセス”は、これまで私が紹介してきた「“夢”をたくさんのステップイメージに分けて、それをマネして、一つ一つ実現していく」という方法と何ら変わるところはありません。そのための必要な環境は“晴顔”によって引き寄せることができます。あなたもぜひやってみてください。“晴顔”は、素晴らしい人生をつくるのです。
そしてこのやり方は、なんと「プレッシャー解消・スランプ脱出」にも使えます。詳しくは次回。
●プロフィール
なかむら・かつひろ1951年山口県岩国市生まれ。早稲田大学卒業後にNHK入局。「サンデースポーツ」「歴史誕生」「報道」「オリンピック」等のキャスターを務め、1996年から「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)ほか、テレビ東京などでワイドショーを担当。日本作家クラブ会員。著書に「生き方はスポーツマインド」(角川書店)、「山田久志 優しさの配球、強さの制球」(海拓舎)、「逆境をチャンスにする発想と技術」(プレジデント社)、「言葉力による逆発想のススメ」(大学研究双書)などがある。講演 「“顔”とアナウンサー」「アナウンサーのストップ・ウォッチ“歴史館”」「ウィンウィン“説得術”」
